理研産業・久保田勝彦社長 × LiftFunction・川田

弊社代表の川田と、広島の理研産業・久保田社長。AIをどう使うか。広島でDXに伴走する老舗ICT企業の社長と話すうち、答えは「会社とAIの距離」、そして「人に残るもの」へ――。
「日本のAI推進」をテーマに始まった対談は、思いがけず本質的な方向へ進んでいきました。
「地方はAIが遅れている」とよく言われます。しかし久保田社長の見立ては、少し違いました。ただし“関心や利用経験の広がり”と、“全社的な業務変革”は分けて考える必要があります。知識の広がりと、市場規模の差。二つの視点から、対談は始まりました。
川田: 地方はAIが遅れている、とよく言われますよね。実際どうですか?
久保田: それが、そうでもないんです。生成AIが出た数週間後のイベントでも、『使っている人は?』と聞くと、8割くらいの手が挙がる。昔なら製品名を出してもお客さんはほぼ知らなかった。でも今は、Copilot、ChatGPT、Claude、Gemini――当たり前に通じます。
川田: じゃあ、知識の差はもうない?
久保田: 知識の差は、正直まだあります。東京での普通の商談が、広島では『うわあ』って驚かれることもある。でも、これは広島が悪いとか東京がすごいとかじゃない。市場規模の話なんです。扱う金額が違えば、できることも変わる。
川田: 遅れているんじゃなくて、伸びしろがある、と。
久保田: そう。東京で当たり前のことを持ち込めば、地方はまだまだ伸びます。
――「使っている」と「全社で活かせている」の間には、まだ距離がある。その伸びしろこそ、地方の可能性でもある。

同じAI導入でも、東京と地方では“入れ方”がまるで違います。鍵になるのは、経営者が本業に集中したいという切実な思いと、投資をどれだけ待てるか、という時間感覚でした。
川田: 地方の中小企業だと、入れ方も東京とは違いそうですね。
久保田: 違いますね。田舎の社長は、本業に集中したいんですよ。販売会社なら、営業に集中したい。だから『まずはこの業務だけ、30万くらいでAI化しましょう*』という、対象を絞った案件がすごく多い。全社を一気に、ではなく、小さく始めてリターンを早く出すんです。
川田: 東京だと、全社に入れて何年かけて、という話になりがちですが。
久保田: そこですよ。結局、投資を何年我慢できるか。回収が5年先か1年先かで、判断が変わる。短くなるほど、投資はしやすくなる。
*本記事におけるAI化とは、特定業務を対象とした小規模な業務改善や自動化を指しており、企業全体のDXや基幹システム刷新を意味するものではありません。
有用性は分かっている。それでも社内で提案が通らない――多くの企業が抱えるこの壁について、久保田社長は「提案する側の見せ方」に原因があると指摘します。
川田: AIはいいと分かっていても、社内で通らない。あの壁は何なんでしょう。
久保田: 提案する側が、ROIだけで示そうとするからですよ。『30人が100人に増えたらROIはこれです』みたいな話ばかり。もちろんROIは大事。でも、それだけじゃない。やりがいや、人の成長、顧客体験、会社の売上にも効いてくる。その“お金以外の価値”まで一緒に語れていないんです。
久保田: きつい言い方をすると、費用対効果でしか示せない社員を、会社が育ててきてしまった。ワンマン企業ほど、その傾向は強い。

扱うべき技術が増え続けるいま、「全部を自社で」は難しくなっています。とはいえ、外部と組むことには地方ならではの壁もある――その本音に、久保田社長は率直に触れました。
久保田: AIもセキュリティもクラウドも、全部一社でやるなんて、もうメーカーじゃないと無理。
久保田: 無理して背伸びする時代は、終わったと思っているんです。かっこつけないといけない場面も、ありますけどね。
川田: とはいえ、外部と組むのは勇気がいりませんか。
久保田: 地方は特にね。『うちの客が、あの会社の客になって、さようなら』という恐怖心が強い。だから結局、人のつながりなんです。
久保田: いきなり出てきた専門家がいくら正しくても、販売店の営業が一緒に連れてくる方が、お客さんは心を開いてくれる。
久保田: 県や国が公募して東京からポンと呼んでも、成果が出ない。理由は、そこなんですよ。
――「一社では無理」は、あきらめではありません。どこを自社で担い、どこで組むか。競争する領域と協業する領域を見極めて専門性を掛け合わせることが、結果的に顧客価値向上につながるのです。

川田: 理研産業さんは、私たちLift Functionとも組んでくださっています。実際どうでした?
久保田: 難しいことを、わかりやすく伝えてくれる。ああいう人が、いるようでいなかったんです。技術をひけらかさない。知っているとつい喋りたくなるものだけど、そこがよかった。
川田: こちらこそ、理研産業さんはすごいなと思っていて。ワークショップのとき、御社の営業さんが受講者の後ろに立って、操作でつまずく人を助けていたんです。あれ、実はすごくレアなんですよ。
川田: 『専門家を呼んできた』じゃなく、『理研さんの社員も詳しい』になる。それだけで、お客様の信頼感が一気に増す。
久保田: こちらとしても、社員が前に出られるのはありがたいんですよ。
── 今回LiftFunctionが提供したこと|AI Training ──理研産業との協働の中心にあるのが、実務で使えるAI人材を育てる「AI Training」です。既製の座学ではなく、その会社の業務に合わせてゼロから設計するフルカスタマイズ型。受講者が必ず自分で手を動かすハンズオン形式で進めます。
◆ 社内向けAI研修全社員がAIを日常業務で使いこなせるようにする研修。Microsoft 365 CopilotやChatGPT、Power Platformまで、その会社の業務に直結したテーマで実施します。
◆ 社外向けAI研修販売店が、自社のお客様にAI活用を届けられるようになるための支援。理研産業とのワークショップもこの形で、営業担当が受講者に伴走しました。
川田: そこはすごく意識しています。知識を、販売店さんの中に根付かせないといけない、と。いま販売店には、従来型の販売モデルから、お客様の業務変革に伴走する支援モデルへの転換が求められている。お客様の“AIをやらなきゃ”という空気は、もう確実に来ていますから。
川田: とはいえ、自社だけで全部を抱えるのは限界がある。だからこそ、こういうパートナーと組むという選択肢もある――そう知ってもらえたら、と思っているんです。
川田: 私たちLift Functionのミッションは『人が夢中でいられる社会を、当たり前にする』。使命として掲げているのは、『改革に本気で向き合う組織の、最高の伴走者であり続ける』ということなんです。これを書いたとき思っていたのは、AIでなくすべきはコミュニケーションじゃない、ということ。営業さんにはAIを使って、もっとお客さんに会いに行ってほしい。上司の方には、人と向き合ってほしい。そのためのAI化なんです。
久保田: その感覚は、すごく分かります。

話は次第に、AIという道具そのものの捉え方へ。AIをテーマにした対談で、久保田社長が「賭けるのは人」と言い切った、その理由とは。
川田: これから経営者として、何に賭けますか。
久保田: 人、ですね。
川田: AIの対談なのに、人、なんですね。
久保田: AIはもう、バンバン使うべきなんですよ。使わないと絶対ダメ。そのうえで、人なんです。たとえば複合機の修理。交換すれば直ることが多いけど、それでも直らない事象はゼロじゃない。本質を理解している人だけが、直せる。
久保田: 知識があるか、じゃない。本当にその仕事を分かっているか。そして、周りを巻き込める人かどうか。『こいつと組んだら面白そうだ』――そういうワクワクに、人は集まるんです。
川田: AIそのものは、どう位置づけていますか。
久保田: 上でも下でもない、対等です。といっても、最後に決めるのも、責任を持つのも人。AIは人の代わりじゃなくて、人の力を広げてくれる相棒なんです。だからこそ、人間が『作業』のプライドを、どれだけ手放せるか。そこだと思います。

作業をAIに委ねれば、人には時間が生まれます。その時間を何に使うのか。久保田社長が挙げたのは、意外にもコンサートやスタジアムの話でした。
久保田: コンサートって、動画でも見られるでしょう。映画も、サッカーも。でも実際に行けば、歓声や、人の波に揉まれる。そこで磨かれるんです、感性が。感性を磨くって、ふだんなかなかできていないことなんですよ。
久保田: AIは、その時間を生み出してくれる。ただ働いてくれるだけじゃなく、文化と成長につながる。そうすると、人の人生も豊かになる。結果的に、いろんなところにプラスに働くんだろうな、と思うんです。
――AI推進の話は、最後は人の話に還っていった。
AIで生まれた時間を、何に使うか。その問いへの答えこそが、これからの企業価値の差になるのかもしれません。
業務のどこをAIに任せられるか、まずは棚卸しから。Lift Functionが、貴社の“ちょうどいいAIとの距離”を一緒に見つけます。
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